色ムラとは?
色ムラとは、塗装面全体の色が均一にならず、
一部が濃く見えたり薄く見えたりする現象です。
パッと見た感じは、斑点のようになったりするので、
あまりにも酷いものだと、仕上がりの見た目が悪くなります。
特にメタリックやパール塗料の場合、光の当たり方によってムラが強調されやすく、
大きな面積や曲面の塗装時に起こりやすい現象です。
色ムラは、仕上がりの美観に大きな影響を与えるため、
塗装屋にとっては、まず最初に避けたい不具合でもありますよね。
色ムラが起こる原因
色ムラが発生する原因は、いくつかの要素が関わっています。
1つかもしれないし、複数関係しているかもしれないので
参考にしてみてください。
ガンの距離と角度
スプレーガンを使用する際の距離や角度が一定でないと、塗料が均一に塗布されず、塗膜に厚みの差が生じて色ムラの原因となります。ガンを動かすスピードが不均一な場合も同様です。
塗料の撹拌不足
メタリック塗料やパール塗料などは、使用前によく撹拌しないと金属粒子やパールが均一に混ざらず、濃淡ができてしまいます。
塗装環境
塗装ブース内の温度や湿度、風の流れが均一でないと、乾燥速度が変わり、塗膜の状態にムラが出やすくなります。特に湿度が高すぎると塗料が適切に乾燥せず、ムラの原因になります。
重ね塗りの不均一
スプレーが均等に当たらなかったり、重ね塗りするタイミングが不適切だと、塗膜の厚さが均一でなくなり、色ムラが発生します。
乾燥のタイミングミス
下塗りが完全に乾燥していない状態で上塗りを行うと、塗料がムラになりやすいです。また、乾燥時間を急がせることで不均一に乾いてしまうことも原因です。
シンナーの選定ミス
シンナーの選定が合っていないと、ムラを起こす原因になります。
乾燥が早い場合は、オーバーミストによる塗膜の荒れからくるムラ、
遅い場合は、クリヤーを乗せたあとに起こる戻りムラです。
隠蔽不足
どれだけ色を乗せても、ムラ消しをしてもいつまでも残る場合は
そもそも隠蔽できていない場合があります。
例えば赤や黄色、その他、下塗り指定がある場合です。
色ムラが起こったときの手直しのやり方
色ムラが発生してしまった場合、手直しは以下のステップで行います。
ウチではこうやってるので、参考にしてみてください。
まずは落ち着いて乾かす
まずやってしまいがちなことは、ムラになってしまったがために
焦ってすぐに塗り直そうとすること。
これがとても悪手で、慌てて塗り直しても、次にまた失敗する確率が高くなるだけです。
まずは落ち着いて、塗ったパネルをしっかりと乾かすこと。
これが最善の手段です。
ムラの範囲を確認する
次に、ムラの範囲と状態を確認します。
色ムラの範囲を正確に確認するためには、光の角度を変えながらチェックします。
外に出して太陽光で見たり、LEDライトで見る、
または赤外線乾燥機で乾燥させながら見ると
どういう感じでムラが広がっているのかがよく見えます。
この時、このまま行くのか塗り直すのかの判断をすることになります。
個人的にはおかしいと思ったら、可能であれば塗り直すことをオススメします。
研磨して表面を均一にする
色ムラが発生した部分を#1300~#1500で研磨し、表面を滑らかに整えます。
この時、研ぎながら塗膜の硬化具合を確認します。
ペーパーに塗料が絡むのであれば、まだ塗れる状態ではないので
その場合はもう一度熱乾燥をして、その後に足付けを再開します。
再塗装
研磨後、色ムラが発生した箇所に再度塗装を行います。
前回、なぜ失敗したのか理由をよく理解して塗ることが重要です。
必要であれば、隣接パネルまで範囲を広げて塗装すれば
より成功しやすくなります。
色ムラを起こさないための注意点
色ムラを起こさないために、いくつかポイントを上げておきます。
スプレーガンの距離・角度・スピードの一定化
パネルとガンの距離がバラバラだったり
手首を振りすぎてガンの角度が一定でなかったり
ガンスピードが遅かったり早かったりすると、それだけで
色ムラが起こる確率がグッと高くなります。
自分がどうやって塗っているのか、動画に撮ったり
仲間に指摘してもらうなどして、自身の状態を確認してみてください。
塗料の撹拌
特にメタリックやパール塗料は思ったより混ざりにくいため、
混ぜ棒の数を2本に増やすなどして、使用前にしっかり塗料を撹拌します。
塗料が混ざっていないと、色ムラが発生しやすくなるので、
ひつこいぐらい混ぜて丁度くらいです。
適切なシンナーの選定
色ムラの1番の原因は、シンナーの選定ミスです。
塗りがキッチリしていても、シンナーの選定を間違えると
色ムラになる可能性が一気に上がります。
温度と湿度をよく見て、なんなら1度試し吹きをするくらい
慎重に選ぶことをオススメします。
薄く均一に塗る
一度に厚塗りするのではなく、薄く均一に塗料を重ねていくことで、
塗膜が滑らかに仕上がりやすくなります。
特に複数の層を塗り重ねる際には、しっかり乾燥させることが大切です。
ライトを使って確認する
塗装作業中にライトを使って塗膜の状態を確認することで、色ムラを早期に発見できます。
ブースの電気を落とし、ライトで塗ったパネルを確認することで
色ムラや肌の状態を確認することが出来ます。
斜めから光を当てたり、違う角度から見ることで、仕上がりが均一かどうか確認しましょう。
ムラが出やすい色
ムラが出やすい、または消えにくい色というものもあります。
例えば目の粗いシルバーとか、隠蔽しにくい赤や黄色系、
その他、やりにくい色というのは結構あります。
そういった色を、普段の作業でやりながら確認し
注意するようにしましょう。
また個人差はありますが、人によって苦手な色がある場合もあります。
僕は水色のパールなんですが、もし自分で『この色が苦手だ』というものがあるなら
他の色での改善方法を応用して塗ってみてください。
これを転移学習というんですが、結構改善に役に立ちますよ。