スプレーテクニック関連

塗装の不具合 『オレンジピール(肌荒れ)』

オレンジピールとは?

オレンジピールとは、塗装の表面がまるでオレンジの皮のように

凹凸のある仕上がりになってしまう事です。

 

表面が滑らかではなくて、塗膜の厚さが不均一になっているため、

光の反射具合が均一でなく、見た目が粗く見えることがあります。

 

自動車の塗装において、オレンジピールは美観を損なう大きな要因の一つで、

特に高品質な仕上げを求められる場合には避けたい不具合です。

 

オレンジピールは、見た目だけでなく、塗膜の耐久性や機能にも

影響を与えることがあります。

 

塗料が均一に塗布されていないため、塗膜が十分な保護性能を発揮できない場合があり、

後々の塗装剥がれや耐久性の低下を引き起こす可能性があります。

 

 

オレンジピールが起こる理由

オレンジピールが発生する理由は

次の5つが考えられます。

スプレーガンの設定不良

スプレーガンのエアー圧と、吐出量のバランスが悪いと

表面が荒れてオレンジピールになります。

例えばエアー圧が低くて吐出が高い場合はドロップになるし、

逆にエアー圧が高過ぎて吐出を絞ってる場合は、上手く色が乗らず、

オーバーミストがザラザラになり、これも肌荒れの原因になります。

 

レギュレータを上手く使い、エアー圧をガンに合わせた設定にし、

様子を見ながら吐出を調節する、またはエアー圧と吐出が、どのくらいでベストなのかを

自身で理解しておくことが重要です。

 

塗料の粘度が高すぎる

塗料の粘度が高いと、塗布時に塗料が滑らかに広がらず、表面に凹凸ができやすくなります。

特に隠蔽性が悪い色の場合、規定のシンナーの希釈量より濃い目にして

少しでもトマリをよくしようとすることもあるでしょう。

それも、ある程度であれば綺麗に肌を作ることも出来ますが

あまりにも濃い場合や、重ねてガンの設定があっていない場合は

オレンジピールになりやすくなります。

 

ガンとパネルの距離が近すぎる・遠すぎる

スプレーガンと塗布面の距離が適切でない場合、塗料が均一に乗りにくくなります。

ガンが近すぎると、塗料が多く乗りすぎて肌が荒れやすく、

逆に遠すぎると上手く塗料が乗らないため、

オレンジピールのような粗い仕上がりになります。

 

パネルから20センチ前後を意識し、適切な距離を保って塗る事が重要です。

 

乾燥が速すぎる

塗料が急速に乾燥してしまうと、塗膜が均一に伸びる前に固まってしまい、

表面に凹凸が残ることがあります。

 

これはシンナーの選定を間違った時によく起こります。

 

気温が高い時や、湿度が低い場合は

乾燥速度が原因の肌荒れが起こりやすくなるので、注意が必要です。

 

 

オレンジピールになった時の対策

オレンジピールが発生してしまった場合の対策をまとめました。

 

塗り直しか磨くかの判断

オレンジピール(肌荒れ)が起こったとしても、

それがごく僅かな場合であれば、磨けば隣接パネルと

肌を合わせることが出来る場合もあります。

 

なので、まずはしっかり乾燥させて、

一度磨いてみてからどうするかの歓談をすることをオススメします。

 

 

塗り直し

あまりにもラウンドが高い場合、または塗り直したほうが速いと判断した場合は、

#1300~1500で、パネルを平坦に研いだ後、再塗装を行います。

 

その時、クリヤーのみで行くのか、ベースも塗るのか、

それとも隣接パネルまでボカすのかの判断します。

 

塗り直す場合は、焦って判断を間違うことがあるので

落ち着いて、どのやり方がベストなのかを決めることが重要です。

 

 

オレンジピールにならないために注意すること

オレンジピールを防ぐためには、次のような点に注意する必要があります。

 

スプレーガンの適切な設定

スプレーガンのエアー圧、口径、吐出量を適切に設定することが大切です。

エアー圧が低すぎたり高すぎたりすると、均一な吹き付けができず、

オレンジピールが発生するリスクが高まります。

 

出来れば塗装前に試し塗りを行い、

ガンのセッティングが適切か確認しましょう。

 

塗料の希釈量とシンナーの選定

塗料が濃すぎると、適切に色が乗らずに

肌が高くなってしまうことがあります。

 

なので、シンナー希釈は規定量の許容範囲内で行うようにしましょう。

 

また、シンナーの選定も重要で、乾燥が早くなりすぎないように

温度と湿度をよく見て、ベストなチョイスをすると

キレイな塗膜を作ることが出来るようになります。

 

ガンとパネルの適切な距離を保つ

スプレーガンと塗装面の距離は、20~30cm程度が一般的です。

この距離が近すぎると塗料が一箇所に集中してしまい、逆に遠すぎると塗料が飛散して均一に乗りません。

ガンの角度や距離を一定に保つためにも、

立ち位置や腕の動かし方、そして手首の動かし方を安定させることが重要です。

環境条件を整える

塗装作業は、できるだけ塗装ブースのような塵やホコリの少ない、

温度と湿度が管理された環境で行うことが理想的です。

 

特に気温が高すぎると乾燥が早まり、湿度が高いと塗料の乾燥が遅くなり、オレンジピールが発生しやすくなります。

 

塗装ブースがない場合は、作業エリアの換気や湿度管理をしっかり行い、できるだけ安定した環境で作業を進めるようにしましょう。

 

 

乾燥時間の管理

塗料が適切に乾燥するためには、十分な乾燥時間を確保することが重要です。

特に塗り重ねる際は、各層ごとに完全に乾燥してから次の塗料を塗るようにします。

 

乾燥時間を短縮しようとして無理に早めると、オレンジピールや他の不具合が発生しやすくなるため、

フラッシュオフタイムをしっかり取るようにしましょう。

 

 

オレンジピール経験談

実は僕も結構肌が荒れていた方で、

まぁ何度も磨きで誤魔化すと言ったら良い方が悪いですが、

塗り直しを免れたことがあります。

 

僕の場合は理由が明確で、ベースの肌に引っ張られる系の

艶が引く感じのやつですね。

ですが、磨けばなんとかなることが多いのと、

ウチのクリヤーがそもそも乾燥時に結構艶が引くもののようで、

ウチの歴代の塗装屋もみんな同じ様な肌だったため、

これくらいはOKという、謎の判断基準が出来ています。

 

これを改善した方法としては

1.ベースの仕上がりの肌の改善

2.クリヤーの溶剤の量を増やす

この2点です。

 

ベースの肌の改善というのは

塗る時に、試しで今から行こうとしている

シンナー希釈で、とりあえずパラ吹きをして

様子をうかがってみること。

そこでベストのシンナーをチョイスすることで

肌荒れを防ぐことが出来るようになりました。

 

2つ目は、クリヤーのシンナー希釈量です。

今までは20%割だったのを、規定の範囲で変えてみるとか。

ウチの場合は17%、次に15%と変えて行きましたが

正直あまり目に見えた違いはありませんでした。

 

ですが、肌荒れは目に見えて改善することが出来ました。

やはりベースの塗膜は大事で、荒れた肌をクリヤーで埋めるという考えは

止めておこうと思いましたね。

 

こんな感じです。

 

 

 

 

-スプレーテクニック関連