不具合まとめ

自動車塗装のブリスターとは?原因から防止法までを解説します

いちころです。

 

塗装の不具合の中で、

ブリスター(塗膜のふくらみ)は

よくあるもので、

注意していても、起こる時は起こる。

 

…ま、不具合とはそういうものですが

その中でも、代表格と言えるものですよね。

 

特に、湿気や塗装環境が原因

で発生することが多く、

適切な対策が求められる問題でもあります。

 

今回は、ブリスターの詳細な原因から

具体的な防止方法まで、実体験を踏まえて

解説していきますね。

 

 

ブリスターとは?

ブリスターとは、塗装面に小さな「ふくらみ」や「気泡」ができる現象のことで、

見た目の仕上がりを大きく損なうことになります。

 

これらのふくらみの中には、湿気や空気、

時には溶剤の蒸気が閉じ込められている場合があります。

 

これは穴を破って匂いを嗅いだら分かります。

溶剤の場合は臭いがするし、空気の場合は

ニオイはしません。

 

そのまま放置すると穴が空いて、

塗膜の劣化も早めてしまうため、

見つけたらすぐに対策が必要になります。

 

 

ブリスターの発生原因

ブリスターの原因は、

塗装環境や下地の状態、塗料の選択など多岐にわたります。

その代表的な原因を3つ解説していきますね。

 

湿気

1番の原因は、おそらくコレです。

梅雨や雨の日で、湿度が70%以上と高い場合、

塗膜や下地に湿気が入りやすくなります。

その後、乾燥が進むにつれてこの水分が揮発して

気泡として出てくるという訳です。

 

 

下地と塗膜の密着不良

下地がしっかり清掃されていなくて、

油分やホコリが残っていると、

その分だけ塗膜が密着しない状態になります。

この密着していない隙間に、湿気や空気が入り込むことで、

塗装後にブリスターが発生することがあります。

 

放っておくと、塗膜の剥がれにも繋がります。

 

 

塗料や希釈剤(シンナー)の選択ミス

作業環境に合わないシンナーや塗料を使うと、

乾燥速度が不均一になって、塗膜内で気泡が発生するリスクが高まります。

例えば、湿度が高いのに

温度だけでシンナーを選んでしまった場合、

乾燥が遅くなり、表面はエアブローなどで

乾かせても、塗膜の中は乾きにくい状態となり

ブリスターが発生しやすくなるという感じです。

 

ブリスターもそうですが、

希釈剤(シンナー)は、適切なものを選ぶことで

様々な不具合を改善することが出来ます。

 

 

ブリスターを防ぐための具体的対策

次に、ブリスターを

なるべく起こさせないための方法を書いていきます。

これは、ブリスターだけではなく

塗装の基本的なことでもあります。

そしてこれらは、他の不具合を回避するときにも有効なので

なにか不具合があった場合は、自分の作業を思い出し、

まずこれらを疑ってみて下さい。

 

 

湿度をよく見て希釈剤を選ぶ

まず最初に、希釈剤を温度と湿度に合ったものを選びます。

温度が適切でも、湿度が高い場合、

乾燥はおそくなり、その分だけ湿度が

塗膜に噛みやすくなります。

そうならないために、普段は遅めの希釈剤を選ぶところを、

それよりも少し早めのものを選ぶことで、

ブリスターになる可能性を減らすことが出来ます。

 

例えば、湿度が'75%以上の時は

いつもは少し遅めの希釈剤を選ぶところを

温度を見て、ちょうどぐらいの希釈剤を選ぶとかですね。

 

その場合、いきなりパネルを塗らずに

廃パネルなどを使って

試し塗りしてからにすると、

より確信が得られて、ミスを防ぐことが出来ます。

 

十分な乾燥時間を取る

湿度が高い状態で塗り重ねる場合、

乾燥時間が短いと、湿気を噛ませた状態で

塗り重ねることになります

 

そうならないために、エアブローなどで

塗膜を十分に乾かしてから塗り重ねることが重要です。

 

 

下地処理の徹底と清掃

塗装前にしっかりと脱脂、エアブローをしたつもりでも、

静電気などでホコリやついたり、

また素手で触ることで、油分が付くこともあります。

 

それらを防ぐために、イオンシャワーブローガンを使ったり、

ニトリルグローブを付けて作業することは

とても有効な手段です。

 

 

いちころブリスター対策

ブリスターだけの対策ではないですが、

希釈剤の選定には、特に注意をしています。

 

仮の希釈を、廃パーツに塗ってみて

どれくらいの乾燥具合なのかを見たりしますね。

 

あとは、あまりにも湿度が高い時は

ブース内の温度を1回上げて、

それからちょっと冷やしてから塗るとかですね。

 

1回ブースのバナーを入れると

40℃位になるので、そこから

常温になるまで待つ感じです。

 

そうすることで、白ボケやブリスターは

随分と防げるようになりました。

 

あとは乾燥時間を十分におくこと。

僕は結構イラチなので、

乾燥時間を待ちきれずに

早めに塗り重ねてしまうことがあります。

 

その場合、ブリスターや沸きが起こり、

結局塗り直すことなるということがよくありました。

 

なので、焦らず

しっかり乾燥時間を取るように

心がけています。

 

最後に脱脂です。

以前は素手でやっていたんですが、

ニトリルグローブを付けてやるようになりました。

正直言って効果はよくわかりません。

 

 

まとめ

ブリスターは、湿度が原因で起こることが多く、

その他にはパネルに付いたホコリや油分など、

本当に厄介ですよね。

 

これらを、下準備で完全に防ぐことは

難しく、やったつもりでも起こる時は起こる。

最初にも書きましたが、不具合とはそういうものです。

 

なので、ブリスターが起こる原因をよく理解して、

起こらないように細心の注意をはらい、

起こったらすぐ対応する。

 

特に湿度が高いときなどは、

起こっても大丈夫なように構えておくことも

対策の一つだと思います。

 

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