不具合まとめ

自動車塗装のトラブル『ハジキ』が起こる原因と改善策

いちころです。

 

塗装の不具合でよくあるのが、ハジキ

キッチリ油分や水分を拭き取ったつもりでも

起こる時は起こってしまう。

特に、パテ修正などで直した所に出来たときには

『なんでココやねん!』

と、思わずガンを投げたくなりますよね。

投げませんけど。

 

これらは、軽いものならちょっと誤魔化して、

そのまま出せるものもあったりしますが、それでも確実に品質は落ちますよね。

そして、お客さんに気づかれたときには

間違いなくクレームになってしまいます。

 

ということは、見つけた時点でほぼ手直し確定ということです。

 

せっかく手間暇かけた作業も、トラブルひとつで全て台無し。

そんな悩みを解決するために、ハジキの発生原因を徹底的に分析し、

明日から現場で使える対策を紹介しますね。

 

 

 

ハジキとは?塗料が弾かれる原因と仕上がりへの影響

自動車塗装のハジキとは、

塗膜に油分が残っていた場合に起こる不具合で、

文字通り、塗料が油分で弾かれている状態のことです。

 

見た目の多くは小さな点状で、単発のものから

全体に無数に広がるものまで、色々あります。

 

例えば補修パネルでハジキが起こった時、

その多くは、下処理の不具合から起こります。

 

油分を拭き取ったつもりでも、小キズの中に入り込んでいた、

またはシリコンスプレーを、周りで使っている人がいた場合、

これはシリコンオフでは完全には拭き取れないので

しっかり拭いたつもりでも、

『コレ、ホンマに脱脂した?』

というくらい、バッチバチにハジくことも

珍しいことではありません。

 

これらが起こる原因について、深堀りしていきますね。

 

原因1:表面の油分やヨゴレの拭き取り不足

主な原因がコレですね。

拭き取ったつもりで拭き取れていない状態です。

シリコンスプレーなどの油分がついている場合や、

旧塗膜の小キズの中に入り込んだヨゴレや油分、

その他には、分解時に爪に入り込んだグリス類や

洗車時に触ったタイヤワックスなど。

 

そういった、自分では見落としがちな意外なことが原因で

ハジいている場合もあります。

 

 

原因2:浮遊しているホコリの付着

ブース内に浮遊しているホコリが付着した時、

ハジキが起こることがあります。

 

正直、こんなのはどうすることも出来ないんですが、

そのホコリは、もしかしたら自分のカラダから出たものかもしれないし、

クルマの細部から出たものかもしれない。

 

ハジキの箇所を見て、その中にホコリが噛んでいれば

間違いなくそれが原因です。

 

 

原因3:色や希釈量によるハジキ

これは人によるかもですが、

塗料の希釈量が多い=塗料が薄いと

弾きやすくなるように思います。

特に白。

新品パネルの塗装のとき、

僕的にですが、パールを塗る前の白が

1番ハジキましたね。

 

普段なら塗料の濃さで乗っていた塗料が、

希釈量が多い時は弾いてしまうような感じですね。

 

 

原因4:湿度が高い時

湿度というのは、自動車塗装で

色々と不具合を起こす原因になるんですが、

ハジキも、この湿度の高さによって

起こるように思います。

おそらくですが、湿度の高さが直接の原因ではなく、

ハジキが起こりやすい原因を作ってるってことですね。

 

具体的には、湿度が高いと塗装面にわずかな水分が残りやすくなって、

その水分が塗料の密着を妨げることでハジキの原因になることがある。

 

また、湿度が高いと乾燥時間が不安定になってしまって、

ムラが出やすくなるから、その結果、塗料が均一に広がらず、

斑点のように弾かれてしまうということですね。

 

 

ハジキを起こさないための対策とは?

不具合全般に言えることですが、

完全に防ぐことは不可能です。

 

ですが、最小限に抑えるために

やれることはもちろんあります。

その方法を解説していきますね。

 

対策1:徹底した足付けと脱脂

旧塗膜や新品の電着プライマーの足付けの徹底は当然なんですが、

特に旧塗膜の場合は、小キズに油分やヨゴレが含まれていることがあります。

このキズを見落とさないように、しっかり足付けと脱脂をすることが重要です。

 

小キズは可能な限り落とし、サフェーサーで押さえる。

 

また、シリコンオフだけでは取れない油分もあるので、

そんな時は少し強めの脱脂剤を使うことをオススメします。

 

ウチの場合は、塗装用のシンナーで拭き取っています。

これだと、ラッカーより弱いので、

例えばサフェーサーを塗っている場合でも、

溶けることなく、油分を拭き取ることが出来ます。

また、シリコンスプレーの油分も、拭き取ることが可能です。

 

その後、シリコンオフで拭き取れば、

油分をしっかりと落とすことが出来ますよ。

 

その他に、足付け用の洗剤を使うのも有効です。

#1300相当のスコッチブライトを水に浸けて

擦れば、パネルにこびりついたヨゴレや油分を

キレイに落とすことが出来ます。

 

 

対策2:徹底したエアブロー

クルマやカラダについているホコリというのは

自分が思っている以上に多くついています。

 

ブースの電気を落とし、LEDライトで照らしてみると

いかに自分が埃まみれの中で塗っているのかよく分かります。

 

また自分のカラダからも、意外にたくさん出ていて、

例えば座った時や立った時、防塵服の隙間から

ホコリが出るのも確認できます。

 

そのため、ブースに入れる前には

ブースの壁と床の掃除。

クルマを細部までエアブローする。

塗る直前、ブースに入る前は

念入りに自分をエアブローする。

 

最低限、これらを徹底するだけでも、

ブツの付着を減らすことができるので、ひいては

ブツの付着によるハジキも、防ぐことが出来ます。

 

 

対策:3 塗料の希釈量

コレは完全に僕の感覚になるんですが、

塗料は、希釈量が多いと

ハジキやすいような気がします。

反対に少し濃い目にすると、ハジキにくくなるように思います。

 

塗料にはメーカー指定の希釈量が決まっていますが、

その希釈量で割って塗ってみて、もしハジいたら

ちょっと濃い目で行ったら解決するかもしれません。

 

100%で割っていたなら90%にするとかですね。

 

あまり濃すぎると、肌に影響が出るので

様子を見ながら濃くしてみて下さい。

 

対策:4 ニトリルグローブを付ける

お分かりのように、手は結構油分があります。

僕のようにオッサンなら手はカサカサなんですが、

それでも油分は付いているものです。

 

昭和の職人のように、しっかりシンナーで手を拭いて

クルマを触るというのも一つの手ですが、

そうするよりも、ニトリルグローブを付けたほうが

手っ取り早いし確実です。

 

マスキング時にはちょっと使いにくいですが、

脱脂から使えば、素手でクルマを触ることがなくなるので

手からの油分は完全に防ぐことが出来ます。

 

気になる方は是非試してみて下さい。

 

 

ハジキが起こった場合

ベースやクリヤーを塗った直後に弾きが起こってしまった場合、どうしたら良いのか。

その方法について解説していきますね。

 

サフェーサーの場合

サフェーサーを塗った時にハジくことってありますよね。

その場合は、無理して進めず、

拭き取って塗り直すことをオススメします。

 

1発2発くらいなら、サフを筆やパテで押さえる方法もありますが、

そのやり方は、仕上がりが美しくないし、別の不具合が起こる可能性もあるので、

キレイに拭き取って、キチンと下処理をしたほうが

後々困らずに済みますよ。

 

ベースの場合

ベースで弾いてしまった場合は、ベースを乾燥させてから

弾いたところを#1000~#1300のペーパーで擦り、

ウエスにシリコンオフを少量つけて固く絞り、

軽くサッと拭き取ります。

 

その後、様子を見ながらベースを塗装し

問題なければOKです。

 

クリヤーの場合

クリヤーの場合は、少量の場合は

クリヤーが指触乾燥したぐらいに

マイクロブラシなどで、点で押さえると

行けるときがあります。

 

焦って、クリヤーを塗り終わってすぐ押さえると、

そこがベースを乗せていた箇所なら、

勢い余ってベースまで点いてしまうことがあります。

指触乾燥または触れるくらい乾いてからでも遅くはないです。

焦らないように十分注意して下さい。

 

ハジキの数が多い場合や、深いとか大きい場合、

また押さえても目立つ場合は塗り直しになります。

 

クリヤーだけで行けるか、それともベースからやり直すかは

場合によるので、その辺りは十分に注意して

手直しをするようにして下さい。

 

まとめ

正直言うと、ハジキは

狙って完全に抑えるのは難しいです。

 

同じやり方をしていても

起こる時は起こるし、

出ない時は出ない。

そういう不具合です。

 

なので、起こってしまった場合は

押さえるか、塗り直すしかないんですが

起こる原因を知り、徹底したエアブローと

脱脂をすれば、経験上の結果論ですが

かなり抑えることが出来ます。

 

もし興味があれば、noteでもまとめているので

そちらも読んでみて下さい。

 

 

 

 

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