現場ログ

忙しい工場での3大課題にどう向き合う? 仕事量・仕上がり・納期

いちころです。

 

仕事の現場には、いろんな悩みや問題事が起こりますよね。

人間関係や作業環境、作業時間や残業、休日出勤。

そして金銭面など。

 

経営者はもっと生産してほしいけど

現場は、そこまで無理はしたくない。

 

経営者はもっと給料を上げてあげたいけど、

実際はそうすることは出来ない。

現場はもっと給料を上げてほしいけど、

今がアッパーなのかというくらい上がらない。

 

もう、問題というのは尽きませんよね。

僕も主任の立場的に、いろんな問題を抱えてます。

 

そんなたくさんある問題の中で、

1丁目1番地である問題、

仕事量・仕上がり・納期

について、今回は書いていこうと思います。

 

忙しい現場にありがちな、この3大困難について

ウチの現場ではこうしてます、という例を上げて書いていくので

皆さんの現場と比べて見て下さい。

 

仕事量の多さにどう対応していくか

現場に山ほど事故車が並んでいて、

ヤードにも、見たくないほど事故車が置いてある。

 

そのほとんどが中破以上で、正直見たくもない。

 

やっと1台納めたと思ったら、2台持って帰ってきて急ぎやと言う。

「あれはいつ出来る?」

「もう鈑金してる?」

「いつ塗る?」

 

・・・・・

 

( ゚д゚)うっさいんじゃ◯ケーーーーーーーーー

 

そんな気持ちになるでしょう。

いや、分かります。

僕も現場の端くれ。忙しくなればなるほど、現場は殺気立つものです。

 

でも何でなんでしょうね?

仕事は欲しいはずなのに、たくさん持って帰ってきたら

機嫌が悪くなってしまうのって。

 

まずはそこを理解しておいた方が、

仕事をこなしていけそうなので、ちょっと深堀りしていきますね。

 

仕事量=ストレス量

例えば、1日2台触れる人がいたとしますよね。

1台は塗って、もう1台は下準備を終わらせて、

次の朝イチに塗れるようにする。

 

この人に、

「今日から3台触ってくれ」

と言ったらどうなるか。

多分ですが「無理!」と言うでしょうね。

だって今まで2台しか触って来なかったわけですから。

それ以上は、どうやっても無理だと。

 

これは、僕も含め、皆さんにも言えることですが

人は、自分のキャパ以上の仕事を振られると

不機嫌になるんですよ。

それはなんでかと言うと、

仕事量=ストレス量だからです。

 

どれだけ仕事が好きで、または責任感を持っている人でも、

仕事をすれば、必ずストレスは溜まります。

そこに例外はないです。

 

だから、今でも限界まで詰めてる状態で

さらに仕事を増やされた上に

『早よして』『まだなん?』とか言われると、

仕事量に加えて催促までされ、それによって我慢の限界と

堪忍袋の緒が切れて、

 

( ゚д゚)オマエがやれや!

 

と爆発してしまう。

 

仕事量が増えると機嫌が悪くなってしまうのは、

自分のキャパを超えてしまう仕事量を抱えてしまうことへの

プレッシャーや、体の負担(しんどさ)、そしてなにより

ストレスによる気分の落ち込みが原因です。

 

ココがポイント

仕事量が増えて機嫌が悪くなるのは、ストレスがかかるから

 

その日の作業と日割りの作業

自分のキャパ以上の作業を振られ、

現場が殺気立つということは、皆さんも経験したことがあると思います。

まぁ、空気悪いですよね。

 

そこで、つぎは、そんな空気を払拭すべく

ウチの現場でやっている作業方法を紹介します。

 

ココがおすすめ

ウチの現場でやっている作業方法を3つに分けて紹介します


まず1つ目は、

その日の作業と日割りの作業を決める

ということをやっています。

 

どういうことかと言うと、

まず、その日に塗れるクルマと、用意に時間がかかるクルマを先に分けておいて、

今日塗れるクルマは塗ってしまって、

用意に時間がかかるクルマは、日割りで作業を進めていくんですよ。

それは1台とは限らず、2台、3台と進めることもあります。

 

そうすることで、1日の塗装のノルマを確保しつつ

時間がかかる作業も、確実に無理なく進めていく。

 

まずこれで、忙しくなったとしても

ペースを乱さずに作業を進めて行けてます。

 

その日にやる作業と日割りの作業を決める


2つ目が

今日はどこまでやるのかを決めるということですね。

 

作業が溜まって、しかも詰められたりすると

上でも書いた通り、どうしても機嫌が悪くなるし、さらに焦ってしまいますよね。

あれもせなアカン、こっちもやらなアカン、って。

 

でも、自分が出来る作業って、もうアッパーは決まってるんですよ。

時間延長をしない限りは。

それ以上の事は出来ないし、やったところで確実にクオリティは落ちます。

 

それなら、確実な方をとって、

その日1日で進める作業を決め、

『今日はここまで進めたら終わり!』

と、終わりを決めておいたほうが、現場はゴールが見えているため

最後まで頑張りやすいわけです。

 

その日の作業のゴールを決めておく


最後の3つ目が、スキマ時間を詰めるということです。

 

これはどういうことかと言うと、ちょっと考えてみて欲しいんですが、

今日の自分の作業を思い返してみた時、空いている時間や

順番を変えたら、もう1つ進んでた作業とかなかったですか?

 

自分ひとりで作業している時はもちろん、

仲間と協力してやる作業や、連絡ミスでの遅れなど。

 

作業を早く進める方法として、技術を上げるとか手を早くするとかもあるんですが、

その他に、段取りを組むというのがあります。

 

スキマ時間を埋めるというのは、これはそのまま段取りを上手く組むということで、

無駄がないように、スキマに作業を突っ込むわけです。

 

例えば、パテ修正をするなら1台だけではなく、2~3台同時に進める。

新品パネルの足付け・シーラーをするなら、これもまとめてやる。

 

広範囲のマスキングであったとしても、

1台に集中するんじゃなくて、そこは時間で分けて作業すれば

調色や、他のクルマの足付けなんかも並行して作業することは可能です。

 

この30分はマスキングをして、この15分で足付け。

次の20分で調色してから、またマスキングに返ってくる

こんな感じで。

 

目の前の作業だけに集中するのではなく、全体を見て、何を詰めれるのかを判断して

作業の2~3手先を見て動けば、迷うことなく進めていけるんですよ。

 

1台に集中すれば、そのクルマだけは出来るかも知れませんが

他のクルマは全くの手つかずで終わってしまう。

そうならないための段取り=時間割で作業することで、

1日で触るクルマを増やせば、数をこなせるというわけです。

 

段取り=時間割で作業する

 

 

仕上がりへの妥協をどう防ぐか

時間に余裕があるときなら絶対にやらないようなミスも、

いそがしいときほど、やってしまうことってありますよね。

 

普段は必ずやるパテの巣穴のチェックを忘れて、ベースを塗ってから、穴が空いていることに気付くとか、

ちゃんとマスキングしたつもりなのに、塗り終わって紙を剥いだらミストまみれだったり、

シンナーの選定を間違えて、速すぎてザラついたり、反対に遅すぎて垂れたり。

 

この忙しい時にミスをする理由は、お分かりのように焦りですよね。

 

納期が決められているので、1日の作業量も多く、

そのために、時間を詰められ、焦ってしまう。

 

早くしないといけないのに、焦ってミスっていたら本末転倒ですよね。

進むどころか下がってるので。

忙しいからといって、そんな粗い仕上がりでは

お客さんは納得してくれないし、そもそも納められませんよね。

そんな妥協も出来ないしね。

 

仕上がりのクオリティを確保しつつ、

焦らずに仕上げるためにはどうすれば良いのか。

 

という課題にウチではどう取り組んでいるのかを

次で紹介しますね。

 

 

指示役の重要性

焦ったらミスりやすくなり、正確な判断もできなくなる。

それを防ぐために、ウチではどうしているのかと言うと

僕が全部の判断をしています。

 

詳しくいうと、塗りに関しては、作業の全ては僕が指示を出していて、

1日の作業量やペースを決めています。

午前中にここまでやるとか、最終ここまで進めるとか。

 

そのため、作業を詰めて進めるときも当然あるんですが、

やっぱりそういう時って、思ったように作業が進まなかったり、

ミスをしたりすることがあるんですよ。

 

このミスをした時に僕が1番重要だと思うのが

次にどうするかの判断なんですよね。

判断というか、僕からすると、どう指示を出すのかということなんですけど。

 

ミスったり、イライラして焦っている時って

上でも書きましたが、なかなかベストな判断をできる人って少ないと思います。

 

そこで、塗りの当事者ではない全部を判断している僕が

次の指示を出すわけです。

 

たとえば、ベースでムラが抜けない色があって、苦戦していたとします。

その場合、そのまま作業を進めずに一旦そのクルマは置いておいて、まずはしっかり乾燥させます。

その間、塗り担当の後輩くんを落ち着かせておいて

別の作業をしてもらい、僕が下準備を終わらせてから

改めて後輩くんに仕切り直してもらいます。

 

こういう感じですね。

言ってみれば、作業する人と判断する人が別なので

焦らず、ベストな判断がしやすくなるというわけです。

 

もし後輩くんにそのまま任せていたら、十中八九、そのまま進めて

まぁ良いものにはなっていない確率のほうが高いと思います。

 

塗装屋は、なるべく早く仕上げたくて、

待つとかが苦手な人がとても多いですからね。

 

そういう心理を知り尽くしての判断という感じです。

 

ミスをした時、次にどうするか瞬時に判断することはとても重要

 

仕上がりの判断

ミスをしたときの判断もそうなんですが、

仕上がりの判断も、塗った当事者は正確な判断がしにくい事が多いです。

 

どういうことかと言うと、やっぱり客観的な判断が出来ないというか

『これくらいエエやん』

『そんな凹みくらい大丈夫やって』

挙句の果てには

『もうええやん、頼む!これで行って!』

とかね。

 

作業の苦労を考えたら、こう思うのも無理はないし

痛いほど気持ちはわかるんですが、駄目なものは駄目無し、行けないものは行けない。

 

その判断をするのも僕です。

 

気持ちがわかる分、正直言いにくいんですが

そこは仕事と割り切って、即手直しすることを言います。

 

塗る人と、仕上がりを判断する人を別にすることで

客観的に見て判断する。

 

もちろん、完璧じゃないと駄目ということはないし

妥協するラインはありますが、こうすることで

仕上がりのクオリティを確保しているという感じですね。

 

作業する人と判断する人を別にすることで、客観的な判断ができるようになる

 

 

納期のプレッシャーの乗り越え方

約30年ほど前、僕が坊主の頃は

『出来たら納車する』

という、現場ペースというか、そんなに焦って納めるということを

していませんでした。

なので、忙しくても早出もせず、そんなに残業もしない。

催促なんかされようもんなら、平気で文句を言ったりしてね。

 

今では考えられないですけど、そんな感じでしたよね。

そしてそれが良しとされていた時代。

今そんなことをやってたら、間違いなく切られますよね。

 

今は、納期は絶対。

ディーラーの仕事ならなおさらで、代車の兼ね合いや

お客さんの都合の問題が最優先で、現場はそれに合わせて

確実に仕上げて納めなければならない。

 

日を貰えることもあれば、預かって2~3日で仕上げろなんてこともある。

まぁお客さんファーストにもほどがありますよね。

こっちの都合はガン無視なわけですから。

 

こんな過酷な状況の中で、みなさんも戦ってると思いますが、

そんななかで、ウチではどうやっているのかを紹介していきますね。

 

 

余裕を持って作業する

例えばなんですが、ディーラーからの入庫で

『次の週末までに持ってきて』

と言われたとします。

正確には、来週の土曜日納車ということですね。

で、今が木曜日だったとします。

作業できる日は、日曜を除いたら当日を除いて8日です。

 

ここで、土曜日に納車するつもりで作業するのか、

できるだけ早く納めるつもりで作業するのか

この2つの考え方によって、作業のやり方が変わってきます。

 

納車日を指定されることを『ケツを切られる』と言うんですが、

この例の場合でいうと、最悪土曜日納車、ということなんですね。

 

どういうことかと言うと、鈑金を終わらせて納めた後に

ディーラーで何かチェックをするかもしれないし

残りの作業があるかもしれない。

もしかしたら、できるだけ早く欲しいのかもしれない。

 

言っては来ないですが、そういう事情があるかもしれないということを察し、

ケツを切られた仕事は、必ず早めに納める。

土曜日納車なら、木曜には納める予定で作業を進める。

 

そうやって時間の余裕を作ることで、

お客さん(ディーラー)の負担を軽くするわけです。

 

そうするとどうなるのかと言うと、

『あそこは融通を利かせてくれる』

という信頼に繋がり、それはそのまま現場の評価にも繋がるわけです。

 

言葉をそのまま受け取るのではなく、

余裕を持って早めに作業する。

ケツを切られた日よりも早めに納めることは、結構重要です。

 

決められた納期より早く納める意識を持つ

 

 

早めの報告をする

とはいえ、どうしても遅れてしまうこともありますよね。

 

中破以上の作業で、どうしても時間がかかってしまう場合、

塗りで失敗してしまった場合、

組付けの段階で、部品が足りない場合、

または部品の間違いに気づいた場合。右と左が違うとか。

 

うわ、もうアカン!と思うことって実は結構ありますよね。

無いというところは、管理が徹底しているということなので、すごいと思います。

 

で、その場合ははどうするのかというと、もう早めの連絡しか無いです。

 

嘘を言わずごまかさず、正直に現状を伝えて

あと何日あれば納められるのか、納期を延ばしてもらえるかどうかの相談をします。

 

そのためには、やはり早めの作業が絶対で、

だから上で書いたように、早めに取り掛かる必要があるわけです。

遅くすればするほど、問題があった時、納期が遅れるわけですからね。

 

問題が起きたら、お客さんに早めに報告をして納期の相談をする

 

 

逆算と日割の作業

外の記事でもよく書くんですが、

僕がよく言う『日割りの作業』とは何のことかと言うと、

納期から逆算した作業のやり方ということです。

 

例えば、今が月曜日で、土曜日に塗り、来週の水曜日の納める予定を組んだとすると、

月~金の間に下準備を進めて、塗る直前まで終わらせます。

 

そのためには、1日どれくらい作業を進めないといけないかを判断し、

もちろん他の作業もあるので、並行して進めていきます。

 

その日やる分と、日割りの分という感じですね。

 

よく、時間が出来たらやると言って、長いこと置いている場合が

ウチではよくあったんですが、作業をしていると

まとまった時間が開くことってほぼなくて、いつまでも放ったらかしになり、

催促されてから焦って掛かるということがよくあったんですよね。

 

そうならないために、入庫しているクルマの納期を把握し、

どのクルマが急ぎで、そうでないクルマはどれか。

鈑金の進み具合や、部品のある無しの把握。

塗りの作業の進み具合を見て、どの順番で行くのかの判断。

 

これらを全部分かったうえで、日割りの作業を決め

段取りを決めて進めていく。

 

言葉にしたらなんかややこしそうですが、

やってみたら、そのままややこしくてアタマが痛くなります。

 

( ゚д゚)んなもん出来るか◯ケーーーー!

 

とか言われますしね。

職人って、ホント扱いが難しいです。

 

まとまった時間は待ってても来ない。時間を作って日割りで作業する

 

 

まとめ:困難を乗り越えた先にあるもの

カッコいいタイトルですが、内容は普通なので。

 

仕事量・仕上がり・納期は、みなさんも苦労されていると思います。

 

ウチの現場でこれらの段取りを組んで、こなして行くことで得られたことは

お客さんの評価は正確にはわかりませんが、現場としては

 

『忙しくてもこなせるという自信』

『それぞれの作業の責任感』

 

この2つが強いと感じでいます。

 

納期を決めることによって、それぞれの作業へのペースが決まり

必ず仕上げないと間に合わないという自覚が生まれます。

そして、それぞれが責任を持つことで、忙しくても作業が雑にならず、

スマートじゃないにしても、なんとか間に合わせようと頑張るわけです。

 

さらに、それぞれの問題点もクローズアップされるので

技術の改善や工夫、道具の見直しを考えるようになる。

 

そして納めた、間に合ったときの達成感。

もちろん口に出しては言いませんが、みんなが感じていることです。

 

結論、作業量・仕上がり・納期という3大課題をこなすためには

段取りが1番重要だというのが僕の考えです。

 

どの順番で行くか、どう進めるのか。

それをベストな方向で決めることが

生産性を上げて、売上げを伸ばすということに

繋がると思うんですよね。

 

 

あとがき

今回は、仕事量・仕上がり・納期という、

どこの現場でも問題視されているテーマについて書きました。

 

この問題についてはウチでも散々揉めていて、

どうすんねん、ヤバイヤバイと、毎日言われてましたね。

 

当時僕は、塗りを仕切ってなかったので

ただただ作業をこなすだけだったんですが、

もっとこうすればいいのにな、と、いつも思っていました。

 

その考えを実行しているのが今ですね。

もちろん、僕一人ではどうすることも出来ないんですが

みんなで協力することで、無理だと思っていた量の作業も

普通にこなせるようになった。

 

それが段取りで、やっぱりこの考えが

今のところ1番良いんじゃないか?と思ってるんですけどね。

 

そしてこの先、どうすればもっとこなせるか。

もしくは速く、楽に進めることが出来るのかなど、

改善点はまだまだ多くあると思っています。

 

皆さんの現場ではどんな感じでやってますか?

是非意見を聞かせて下さい。

 

 

 

 

 

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